フリー哲学者ネコナガのブログ

エッセイを書いたり、いろんなアイデアを解説したり、本を紹介したりしています。

島田裕巳『神社で拍手を打つな! 日本の「しきたり」のウソ・ホント』

島田裕巳『神社で拍手を打つな! 日本の「しきたり」のウソ・ホント』を読む。 本書は、タイトルは意訳的だが(タイトルをつけるのはふつう編集者である)、内容はまさに「神社で拍手を打つ」ことをはじめとした日本の「しきたり」の数々を一つ一つ丁寧に検…

『数学 新たな数と理論の発見史』トム・ジャクソン編─何よりも数学を楽しむために

トム・ジャクソン編『歴史を変えた100の大発見 数学 新たな数と理論の発見史』を読む。何か役に立つことを学びたいというのではなく、純粋に知的な興味から数学に触れてみたい人に第一におすすめしたい一冊だ。トピック別でカラー・大判・図解入りだが、内容…

『地球進化 46億年の物語』ロバート・ヘイゼン─「秋の夜長に楽しみたい本」

紹介したいのはこちらのロバート・ヘイゼン『地球進化 46億年の物語』である。原題は「The Story of Earth」で、本国ではもちろん好評を博しているようだが、日本語訳も非常に読みやすく、何度も読みたくなるような一冊だ。 そもそも私はこの分野には親しく…

ダニエル・カーネマン『心理と経済を語る』と『ファスト&スロー』(上・下)

ダニエル・カーネマン『ダニエル・カーネマン 心理と経済を語る』(以下『心理と経済』)と『ファスト&スロー(上)・(下)』(以下『F&S』)を再読したので紹介することにする。一般的にはこの分野は実用的側面に注目して読まれがちだが、人間本性の探究という…

「共感」はそんなに重要か─Paul Bloom『Against Empathy』

ポール・ブルーム"Against Empathy: The Case for Rational Compassion"を読む。邦訳されていないが(たぶんされるはず)、いい本だったので紹介したい。 (追記:2018年2月邦訳刊。高橋洋訳『反共感論―社会はいかに判断を誤るか』)。 本書は一言でいえば「…

『量子物理学の発見─ヒッグス粒子の先までの物語』レオン・レーダーマン/クリストファー・ヒル

レオン・レーダーマン/クリストファー・ヒル『量子物理学の発見 ヒッグス粒子の先までの物語』を読む。 両著者ともに一般向け科学啓蒙書を著している物理学者で(レーダーマンは実験物理学者、ヒルは理論物理学者)、このコンビは『詩人のための量子力学―レ…

『翻訳語成立事情』柳父章─日本語はどこまで西洋語的だったか

柳父章『翻訳語成立事情』を読む。 岩波新書黄色版のロングセラーの一つ。タイトル通り「翻訳語」の成立事情を述べた一冊だが、そう聞くと辞書的な内容を想像するかもしれない。しかし、実際は解説だけでなく、相応の「論考」が含まれている。一口に「翻訳語…

『100の神話で身につく一般教養』エリック・コバスト─何がどのように共有されているのか

エリック・コバスト『100の神話で身につく一般教養』を読む。 「教養」を身に付けるのは簡単ではない。いわゆる「一般常識」とは違って、教養は単なる知識の集合ではないからだ。教養の中身は、必ず固有の文脈を伴っているというところに特徴がある。言いか…

『森を食べる植物─腐生植物の知られざる世界』塚谷裕一

塚谷裕一『森を食べる植物─腐生植物の知られざる世界』 を読む。 「腐生植物」をご存じだろうか。植物でありながら光合成を行わず、食物連鎖のスキマで、カビやキノコを食べて生きている被子植物の一派である。一般的には、そもそも光合成を行うのが「植物」…

『近代仏教スタディーズ─仏教からみたもうひとつの近代』大谷栄一他編

大谷栄一他編『近代仏教スタディーズ─仏教からみたもうひとつの近代』を読む。 そこかしこで言及されてますます身近になっている「仏教」だが、素人には全体が見渡しづらい。もともと仏教はあまりにも多様である。もっとも、仏教史に「近代」という補助線を…

『キリスト教の謎─奇跡を数字から読み解く』竹下節子─かくも根強いキリスト教

竹下節子『キリスト教の謎─奇跡を数字から読み解く』を読む。 未だ多くの日本人はキリスト教に疎いが、これほど世界を動かすものを無視して通ることはできない。そこで様々な側面から光を当てるべく、「数字」に注目するという斬新な切り口で書かれた一冊。…

『ユートピアの歴史』グレゴリー・クレイズ─理想郷イメージにみる想像力の歴史

グレゴリー・クレイズ『ユートピアの歴史』を読む。 広義での「ユートピア」の通史を描いた、ありそうでなかった一冊。もともとユートピアとはトマス・モア『ユートピア』における想像上の国家の名前だが、文学史上ではそれ以来、理想郷を描く「ユートピア文…

岸由二・柳瀬博一『「奇跡の自然」の守りかた』─「自然保護」とは何か

岸由二・柳瀬博一『「奇跡の自然」の守りかた: 三浦半島・小網代の谷から』を読む。 ドーキンス『利己的な遺伝子』やE.O.ウィルソン『人間の本性について』の訳者としても知られている岸由二氏による、自然保護に関する啓発書。東京・品川駅から一時間半ほど…

『文明を変えた植物たち─コロンブスが遺した種子』酒井伸雄

酒井伸雄『文明を変えた植物たち―コロンブスが遺した種子』を読む。 周知の事実だが、現代のわれわれにとって身近な植物の中には、アメリカ大陸原産のものが決して少なくない数ある。これが何を意味しているかというと、それらはいずれも、大航海時代にヨー…

ヒトの脳という見えないフィルター─マーク・チャンギージー『ひとの目、驚異の進化』『<脳と文明>の暗号』

理論神経生物学者、マーク・チャンギージーの研究をご存じだろうか。いつかふれようと思って機会を逃していたのだが、ここで簡単に紹介しておくことにしたい。 チャンギージーの著作で邦訳されているのは『ひとの目、驚異の進化: 4つの凄い視覚能力があるわ…

『イースター島を行く─モアイの謎と未踏の聖地』野村哲也─イースター島を歩こう

野村哲也『カラー版 イースター島を行く―モアイの謎と未踏の聖地』を読む。読むというか、基本的に「見る」本である。だからカラー版。しかし、新書だから1000円で買えるのが売りである。 さて、イースター島と言えば「モアイ」だろう。ゆえにサブタイトルに…

デズモンド・モリス『サル─その歴史・文化・生態』─ヒトとサルの奇妙な関係

デズモンド・モリス『サル:その歴史・文化・生態』を読む。必要あって昨年末から読書テーマの一つがサル学なのでその延長で読んだが、そういえば今年は申年であった。新年はゲン担ぎで猿股が売れているとかなんとかいう話だが(違うかもしれない)、私として…

ノーム・チョムスキー『我々はどのような生き物なのか』─本人による入門講義

ノーム・チョムスキー『我々はどのような生き物なのか』を読む。副題は「ソフィア・レクチャーズ」だが、去年3月に上智大学で行われた講演を書き起こしてまとめたものだ。しかし、二日間にわたる講演の全文(質疑応答含む)のみならず、講演直前に行われた…

『南方熊楠─日本人の可能性の極限』唐澤太輔─自由奔放とはなにか

唐澤太輔『南方熊楠 - 日本人の可能性の極限』を読む。 南方熊楠(1867~1941)は、つかみどころのない人物である。私ははじめ「民俗学者」として知ったのだが、民俗学一つとっても何の研究をしているのかよくわからなかった。のちに「菌類」の研究をしていた…

『統合失調症』岡田尊司─問題はそれを発症することではない

岡田尊司著『統合失調症』を読む。 新書ながら、理論と実例をバランスよく入れつつ、症状や認知、歴史的背景、社会との関係などが平易に解説されており、統合失調症理解についての入門書として広くおすすめできるものである。 幅広く多くの本を読む読書家で…


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