フリー哲学者ネコナガのブログ

いろんなアイデアを解説したり、本を紹介したり、エッセイを書いたりしています。

『数学 新たな数と理論の発見史』トム・ジャクソン編─何よりも数学を楽しむために

トム・ジャクソン編『歴史を変えた100の大発見 数学 新たな数と理論の発見史』を読む。何か役に立つことを学びたいというのではなく、純粋に知的な興味から数学に触れてみたいという人に第一におすすめしたい一冊だ。トピック別でカラー・大判・図解入りだが…

モンテスキュー『法の精神』を読む(2)「権力分立」はなぜ重要なのか

モンテスキュー『法の精神』を紹介することにして、前回は同書の基本的な射程と、根本となる考え方を簡単にみた。今回は、前回触れずに終わった、あまりにも有名だが十分に理解されているとは言いがたい「三権分立」、ないし「権力分立」についてみておくこ…

モンテスキュー『法の精神』を読む(1)「法」とは何か

1月も半ばだが、18日はシャルル=ルイ・ド・スゴンダの誕生日だそうである。そう言ってピンと来る人はあまりいないであろうが、一般的には「モンテスキュー」(1689-1755)として知られている人物のことである。誕生日はたまたま知ったが、これを機会に、モ…

『地球進化 46億年の物語』ロバート・ヘイゼン─「秋の夜長に楽しみたい本」

今週のお題「読書の秋」 はてなブログの「今週のお題」で、「秋の夜長に楽しみたい本」ということである。もっともいくら「夜長」でも、よほどおもしろい小説でもなければわざわざ分厚い本を読みたい人は少ないであろうから、読むという作業よりもその内容を…

ダニエル・カーネマン『ダニエル・カーネマン 心理と経済を語る』、『ファスト&スロー』(上・下)

ダニエル・カーネマン『ダニエル・カーネマン 心理と経済を語る』(以下『心理と経済』)と『ファスト&スロー(上)・(下)』(以下『F&S』)を再読したので紹介することにする。一般的にはこの分野は実用的側面に注目して読まれがちだが、人間本性の探究という…

「共感」はそんなに重要か─Paul Bloom『Against Empathy』

ポール・ブルーム『Against Empathy: The Case for Rational Compassion』を読む。邦訳されていないが(たぶんされるはず)、非常にいい本だったので紹介したい。 (追記:2018年2月邦訳刊。高橋洋訳『反共感論―社会はいかに判断を誤るか』)。 一言でいえば…

『量子物理学の発見─ヒッグス粒子の先までの物語』レオン・レーダーマン/クリストファー・ヒル

レオン・レーダーマン/クリストファー・ヒル『量子物理学の発見 ヒッグス粒子の先までの物語』を読む。 両著者ともに一般向け科学啓蒙書を著している物理学者で(レーダーマンは実験物理学者、ヒルは理論物理学者)、このコンビは『詩人のための量子力学―レ…

『文明を変えた植物たち─コロンブスが遺した種子』酒井伸雄

酒井伸雄『文明を変えた植物たち―コロンブスが遺した種子』を読む。 周知の事実だが、現代のわれわれにとって身近な植物の中には、アメリカ大陸原産のものが決して少なくない数ある。これが何を意味しているかというと、それらはいずれも、大航海時代にヨー…

ヒトの脳という見えないフィルター─マーク・チャンギージー『ひとの目、驚異の進化』『<脳と文明>の暗号』

理論神経生物学者、マーク・チャンギージーの研究をご存じだろうか。いつかふれようと思って機会を逃していたのだが、ここで簡単に紹介しておくことにしたい。 チャンギージーの著作で邦訳されているのは『ひとの目、驚異の進化: 4つの凄い視覚能力があるわ…

『イースター島を行く─モアイの謎と未踏の聖地』野村哲也─イースター島を歩こう

野村哲也『カラー版 イースター島を行く―モアイの謎と未踏の聖地』を読む。読むというか、基本的に「見る」本である。だからカラー版。しかし、新書だから1000円で買えるのが売りである。写真集は、もちろん写真家からすれば「これがいい」というサイズやレ…

デズモンド・モリス『サル─その歴史・文化・生態』─ヒトとサルの奇妙な関係

デズモンド・モリス『サル:その歴史・文化・生態』を読む。必要あって昨年末から読書テーマの一つがサル学なのでその延長で読んだが、そういえば今年は申年であった。新年はゲン担ぎで猿股が売れているとかなんとかいう話だが(違うかもしれない)、私として…

ノーム・チョムスキー『我々はどのような生き物なのか』─本人による入門講義

ノーム・チョムスキー『我々はどのような生き物なのか』を読む。副題は「ソフィア・レクチャーズ」だが、去年3月に上智大学で行われた講演を書き起こしてまとめたものだ。しかし、二日間にわたる講演の全文(質疑応答含む)のみならず、講演直前に行われた…

『イスラーム基礎講座』渥美堅持─アラブ・イスラーム情勢をきちんと理解したい人に

渥美堅持『イスラーム基礎講座』を読む。平積みしてあったので買ってみたものだ。著者の本を読むのは今回が初めてだったが、ですます調ながらハードボイルド小説のような雰囲気で、淡々と描かれるイスラーム世界はどこか新鮮だ。 本書の特徴は、タイトル通り…

『悩ましい翻訳語』『厄介な翻訳語』垂水雄二─「翻訳」はなぜ難しいのか

垂水雄二『悩ましい翻訳語―科学用語の由来と誤訳』『厄介な翻訳語―科学用語の迷宮をさまよう』 を読む。著者の垂水氏はさまざまな職種を経験してきたそうだが、本シリーズは「翻訳者」として書いたものである。長年の翻訳業のあいだに積もらせてきた、もろも…

『人類学の再構築』モーリス・ゴドリエ─人類学とは何か

モーリス・ゴドリエ『人類学の再構築―人間社会とはなにか―』を読む。ゴドリエは、レヴィ=ストロースにも師事したマルクス主義人類学者である。邦訳文献としては『観念と物質―思考・経済・社会』や『贈与の謎』などがある。 「人類学」というのは、謎の学問…

『お盆のはなし』蒲池勢至─お盆は仏教行事か

夏が来たので、蒲池勢至『お盆のはなし』を読む。著者は住職(真宗大谷派)であり研究員である。「お盆」については、なんとなく親しんでいながらよく知らないという人は多いのではないだろうか。風習とはそういうものだが、気になり始めると気になるものだ…

『南方熊楠─日本人の可能性の極限』唐澤太輔─自由奔放とはなにか

唐澤太輔『南方熊楠 - 日本人の可能性の極限』を読む。 南方熊楠(1867~1941)は、つかみどころのない人物である。私ははじめ「民俗学者」として知ったのだが、民俗学一つとっても何の研究をしているのかよくわからなかった。のちに「菌類」の研究をしていた…

『図説 英語史入門』中尾俊夫─歴史を学ぶおもしろさ

中尾俊夫『図説 英語史入門』を読む。 手短に本書の特徴を挙げると、さらりと通読するタイプの本ではないこと、図版が多く時代背景を視覚的にイメージできるように工夫されていること、随所にあるコラムで言語学の基礎知識にも触れられていることなどがある…

『ドーキンス博士が教える「世界の秘密」』─リチャード・ドーキンスのユニークさ

リチャード・ドーキンス著『ドーキンス博士が教える「世界の秘密」』を読む。「○○博士の」という邦題は流行っているのかもしれないが、著者名の横にタイトルがあるとなんだか滑稽だ(原題は『The Magic of Reality: How we know what's really true』)。 ド…


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