フリー哲学者ネコナガのブログ

いろんなアイデアを解説したり、本を紹介したり、エッセイを書いたりしています。

「哲学」「哲学者」「哲学書」とは結局何なのか

「哲学は役に立たない」。一般的にはそう言われることが多い(とされている)。しかし、哲学者ならこれに対してこう答えるはずである、「はい、その通り」。 これは、面倒な人を避けるための一つの返し方でもあるが、要するに反論はしないだろうということで…

「自由」とは何か─「自由」とは何でないか

「自由」とは何か。あまりにもざっくりした問いだが、いくつかのことを整理しつつ、これについて考えてみたい。 まず言葉についてみると、日本語における「自由」は、J・S・ミルの『On Liberty』(『自由論』)の訳語として定着したものであると言ってよい…

進化論の誤解(2)「ヒトはサルから進化した」について

nekonaga.hatenablog.com 突然だが、来たる2月12日(今年は日曜日)が何の日かご存じだろうか。私も知らなかったのだが、海外メディアのニュースを見ていたら「Darwin Day」というのがあるらしく、これは進化論でおなじみのチャールズ・ダーウィンの業績を祝…

現代「肉食」考─肉を食べるとはどういうことか

wired.jp wired.jpに肉食に関する記事が出ていたので、これを機会に「肉食」について書いてみたい。上の記事によれば、スタートアップの「Beyond Meat」は、植物性タンパク質をベースに肉の代用品をつくる試みをしているが、味や匂いなどの面で「肉」と見分…

「人工知能」への誤解はなぜ生まれるのか─人工知能(AI)とは何か

www.itmedia.co.jp IT調査会社のガートナージャパンが、「人工知能に関するよくある誤解」10のリストを発表した(http://www.gartner.co.jp/press/html/pr20161222-01.html)。「ガートナーの顧客の間で」ということだが、かなり一般的な誤解のリストにな…

サイバー空間でも自分の身は自分で守ろうという話─あるいは「ホワイトハッカー」とは何か

www.itmedia.co.jp パソコンや携帯電話といった形でコンピュータが一般に普及して、あるいはネットにあらゆる個人情報が乗り始めてからもうかなりの時間が経ったのではないかという感じだが、当初から言われている基本中の基本を未だに守っていない人があま…

なぜ「科学」はいくつかの分野に分かれているのか─どこまで科学で扱えるのか

nekonaga.hatenablog.com 先日の記事「ものすごくざっくり言うと「科学」とは何か」を踏まえる形で、科学についてもう少し書いてみたい。前回見たところによれば、理念としての「科学」の特徴は次の通りである。 自然現象を、背後にある「法則」の存在を探る…

ものすごくざっくり言うと「科学」とは何か

「科学とは何か」ということをものすごくざっくり描いてみたい。もちろんこれについて何らかの正しい答えがあるわけではないが、多くの科学者・科学哲学者が同意しているであろうという範囲においてみてみることにする。 最初に言葉を見ておくと、科学(scie…

人間以外の動物に「意識」はあるのか─動物の心がわかるか

現代社会では、特定の仕事に従事している人を除いては、人間以外の動物に目を向ける機会はあまりない。機会がないというか、必要性がないことが多い、と言ったほうがいいだろう。あるいは動物にふれていても、どこまで動物として扱っているかは別の問題であ…

「教養」とは何か─教養観のいろいろ、あるいはなぜ教養が必要なのか

「教養とは何か」。一見すると不毛な議論になりそうな問いではあるが、これについて考えられる限り考えてみたい。いくつかの議論を参照しつつ、なるべく多様な「教養」観を挙げてみることにするが、特に目新しいことを言うつもりはないので、流し読みしつつ…

なぜ自然は汚くないのか、あるいは自然は本当に美しいのか

「なぜ自然は汚くないのか」。ありていに言えば「なぜ自然は美しいのか」だが、ともかくこれについて考えてみたい。さしあたり「自然とは何か」という問題もあるが、これについては深く考えず、日本語における最も一般的な用法としての「人工物がまったく、…

借りた本に書き込みをする人は何を考えているのか(文字通りの意味で)

「借りた本に書き込みをする人は何を考えているのか」。人に本を貸して、返ってきたら書き込みがなされていて、「何を考えているんだ」と思った経験のある人はそれなりにいるだろう。あるいは、逆にあなたは「借りた本に書き込みするのが問題なのか」と思っ…

ダーウィン進化論の何がすごいのか─ゼロからわかるオリジナルの「進化論」

さて本題だが、もっとも、実は上のタイトルの話は余談に過ぎるものではなく、言ってしまえばこのタイトルが、そのままダーウィン進化論の要約なのである。その意味では素晴らしいタイトルだ。つまり、生物は絶えず「生存闘争」をしているので、必然的に「生…

「思想」とは何か─単なる「考え」とはどう違うのか、あるいは「哲学」や「宗教」との関係について

「思想」とは何か。いわゆる「考え」や「考え方」とはどう違うのか。あるいは、「思想」という言葉と関連性が深そうな「哲学」や「宗教」という概念と対比すれば何が言えるのか。これについて考えてみたい。「思想」と呼ばれる様々なものを理解するには、「…

「フェミニズム」とはいったい何なのか─思想・制度・実践

「フェムニズム(feminism)」という言葉がある。しょっちゅう耳にするわけでもないが、ごくたまにしか耳にしない言葉でもない。むしろ、ますます浸透してきている言葉だと言えよう。しかし、これはいったい何を指しているのか。ひと言で説明できるものであ…

日本人の死生観と「死」について─儒教、仏教と民間信仰

「死」については、古来さまざまな考えがある。何が死であるのかというのは、科学で結論が出るものではない。細胞がすべて死滅した時かと言えば、一度にすべて死ぬわけではないから、その判定は確固たるものではない。心臓が止まった時かと言えば、心臓は止…

「常識」とは何か(2)常識には二つの意味がある

以前、「常識とは何か」という記事を書いたが、そこでの言い分は「常識のほとんどは言葉にされていない」ということであった。もっとも「常識とは何か」ということであれば、そこでは「常識なるものがある」ということを前提としている。しかし、「常識など…

人類にとって火とは何か─「火の使用」が人類史にもたらしたもの

消防車がすごいスピードで走り去ってゆくのを見かけてふと、人類と火のかかわりの長い歴史を思い描いてみる。 「火」そのものは言うまでもなく自然現象だが、「火の使用」はしばしば人類最大の発明とも言われる。要するに「いかに利用するか」ということに磨…

時間は流れているのか(2)「流れていない」と考える場合

「時間は流れているのか」について考えているところであったが、前回、「時間は流れている」とする場合の類型を簡単にみた。今回は、「流れていない」と考えることもできる場合についてみてみることにする。 まず、「現在」「過去」「未来」という区分で言え…

時間は流れているのか(1)「流れている」と考える場合

時間は流れているのか。一般的には、流れているであろう。しかし、流れていないという考え方も可能であるから、これについてみてみたい。結論から言えば「時間は流れていない」と考える方が現代的には整合性がとれるのだが、とは言え「時間は流れている」と…

進化論の誤解(1)「変化する者だけが生き残る」について

最も強い者が生き残るのではなく、 最も賢い者が生き延びるのでもない。 唯一生き残るのは、変化できる者である。 というダーウィンの言葉があるらしい。先日とある記事を読んでいたら紹介されていて、私ははじめて知ったので気になって読み進めてみると、な…

「常識」とは何か(1)常識の多くは暗黙知である

常識とは何だろうか。これを説明するのは簡単ではない。しかし、言葉にできなくとも、人は「私は常識を知っている」と思う。そして、「多くの人が常識を知っている」と知っている。要するに、ある意味ではそのこと自体が常識なのである。 一般的には、常識と…


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