フリー哲学者ネコナガのブログ

エッセイを書いたり、いろんなアイデアを解説したり、本を紹介したりしています。

「なつかしい」とは何か─なぜ「なつかしさ」を求めるのか

「なつかしい」とは何か。あるいは「なつかしさとは何か」でもいいが、あまり研究が進んでいるとは言えないこの感覚/現象について、少し考えてみたい。 まず、ここで言う「なつかしい」が何を指しているかを共有する意味も兼ねて、その特徴をいくつか考えて…

「よろしかったでしょうか」は間違いなのか

いわゆる「接客」における「よろしかったでしょうか」という言い回しは、しばしば「間違っている」とされる。そしてそれが心理的な対立の原因となることも少なくはないようなのだが、もっとも、その真偽のほどはそれほど定かではないし、実際のところそれは…

なぜスポーツをするのか(続)─スポーツの現在とこれから

www.afpbb.com アメフトでは避けがたい「脳震盪」をどうみるかというのはもう十年来の問題だが、「物」としての人間の脳がそう簡単に変わらない以上、事情は他のスポーツでも同じである。今やアメフトにおいてはヘルメットが詳細にテストされ、関連するルー…

「絶世の美女」も「美人」も実在しない

「絶世の美女」という言葉は、もはやリアリティを持っていない。もちろん言葉として使われていないことはないが、それが本当に指すものは、もう誰も思い浮かべられないだろう。 「絶世の美女」がありえたのは、生涯に出会う人の数が、せいぜい数百や数千だっ…

「無知の知」とは結局何なのか

「無知の知」という言葉がある。これは、典型的な説明としては、(1)古代ギリシアの哲学者ソクラテスの言葉であり、(2)「自分は知らないと知っている」という意味であり、もっといえば(3)「だから私は、知らないと知らない人よりは優れている」とい…

「調べる」とはどういうことか

「調べる」とはどういうことか。「調べる」とは、今や一部ではほとんど「ネットで検索する」と同義になっている言葉でもあるが、それもあってもはや誰もが日常的に行うものだということになっているし、あるいはその意味での「調べ方」を指南する本や記事も…

ダーウィン進化論の何がおかしいのか─ゼロからはわからない発展的な進化論

nekonaga.hatenablog.com この記事は以前に書いた上の記事の続きであるので、少なくともその記事を読んでからお読みいただければ幸いである(記事タイトルの「ゼロからはわからない」は、前提知識なしで読まれることを想定した前回記事の「ゼロからわかる」…

言語は認知や思考を規定するのか─「言語相対論」「言語決定論」の歴史と議論の行く末

「言語は認知や思考を規定するか」というのは、現れては否定されるということを繰り返している、言わば「ポピュラーな議論」である。この発想自体はドイツのロマン主義にはじまるものだとされているが、有名なのは「サピア=ウォーフの仮説」だろう。これは…

「人工知能」への誤解はなぜ生まれるのか─人工知能(AI)とは何か

www.itmedia.co.jp IT調査会社のガートナージャパンが、「人工知能に関するよくある誤解」10のリストを発表した(http://www.gartner.co.jp/press/html/pr20161222-01.html)。「ガートナーの顧客の間で」ということだが、かなり一般的な誤解のリストにな…

サイバー空間でも自分の身は自分で守ろうという話─あるいは「ホワイトハッカー」とは何か

www.itmedia.co.jp パソコンや携帯電話といった形でコンピュータが一般に普及して、あるいはネットにあらゆる個人情報が乗り始めてからもうかなりの時間が経ったのではないかという感じだが、当初から言われている基本中の基本を未だに守っていない人があま…

なぜ「科学」はいくつかの分野に分かれているのか─どこまで科学で扱えるのか

nekonaga.hatenablog.com 先日の記事「ものすごくざっくり言うと「科学」とは何か」を踏まえる形で、科学についてもう少し書いてみたい。前回見たところによれば、理念としての「科学」の特徴は次の通りである。 自然現象を、背後にある「法則」の存在を探る…

人間以外の動物に「意識」はあるのか─動物の心がわかるか

ひとたびほかの動物を意識し始めると、誰でも疑問に思うことは山ほどあるだろう。 こうした興味に始まる探究は、ものすごくざっくり言うと二つ(の段階)に分かれる。一つは、人間からみて、例えば犬は何をやっているのか、と問うことである。これは、独りよ…

なぜ自然は汚くないのか、あるいは自然は本当に美しいのか

「なぜ自然は汚くないのか」。ありていに言えば「なぜ自然は美しいのか」だが、ともかくこれについて考えてみたい。さしあたり「自然とは何か」という問題もあるが、これについては深く考えず、日本語における最も一般的な用法としての「人工物がまったく、…

借りた本に書き込みをする人は何を考えているのか(文字通りの意味で)

「借りた本に書き込みをする人は何を考えているのか」。人に本を貸して、返ってきたら書き込みがなされていて、「何を考えているんだ」と思った経験のある人はそれなりにいるだろう。あるいは、逆にあなたは「借りた本に書き込みするのが問題なのか」と思っ…

イースター島の歴史が人々の愚かさによる崩壊の歴史だと言う人と、そんなはずはない、もっといろんなストーリーがつまった歴史だと言う人の議論の歴史

nekonaga.hatenablog.com 先日イースター島のことを少し書いたが、そのあとScience Newsからイースター島に関する新研究論文があるとニュースが流れてきた。先日の記事でも登場したカール・リポ教授が、考古学の論文誌「Antiquity」上で最新の研究成果を発表…

日本人の死生観と「死」について─儒教、仏教と民間信仰

「死」については、古来さまざまな考えがある。何が死であるのかというのは、科学で結論が出るものではない。細胞がすべて死滅したときかと言えば、一度にすべて死ぬわけではないから、その判定は確固たるものではない。心臓が止まったときかと言えば、心臓…

「常識」とは何か(2)常識には二つの意味がある

以前、「常識とは何か」という記事を書いたが、そこでの言い分は「常識のほとんどは言葉にされていない」ということであった。もっとも「常識とは何か」ということであれば、そこでは「常識なるものがある」ということを前提としている。しかし、「常識など…

人類にとって火とは何か─「火の使用」が人類史にもたらしたもの

消防車がすごいスピードで走り去ってゆくのを見かけてふと、人類と火のかかわりの長い歴史を思い描いてみる。 「火」そのものは言うまでもなく自然現象だが、「火の使用」はしばしば人類最大の発明とも言われる。要するに「いかに利用するか」ということに磨…

進化論の誤解─「変化する者だけが生き残る」について

最も強い者が生き残るのではなく、 最も賢い者が生き延びるのでもない。 唯一生き残るのは、変化できる者である。 というダーウィンの「名言」があるらしい。先日とある記事を読んでいたら紹介されていて、私ははじめて知ったので気になって読み進めてみると…

「常識」とは何か(1)常識の多くは暗黙知である

常識とは何だろうか。これを説明するのは簡単ではない。しかし、言葉にできなくとも、人は「私は常識を知っている」と思う。そして、「多くの人が常識を知っている」と知っている。要するに、ある意味ではそのこと自体が常識なのである。 一般的には、常識と…


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