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フリー哲学者ネコナガのブログ

人間にまつわること、哲学や科学、宗教、社会の問題、生き方のことなど書いています。基本的にエッセイです。

ノーベル経済学賞受賞者はなぜロバートか

 本など読んでいると「ノーベル経済学賞を受賞した○○が~」みたいな記述に出くわすことは少なくないと思うが、「経済学賞にロバート多すぎではないか」と思ったことないでしょうか。

 個人的には何度もそう思って、いつも放っていたのだが、何度放っておいてもまた出くわしてしまって、もうこれに付きまとわれるのが嫌になったので、意を決して調べてみることにしたのである。

 

 受賞者リストはウィキペディアを参照したが、結果、ノーベル経済学賞受賞者にロバートは8人いた。76人中だから、ロバート率は10.5%である。個別に列挙すると次の通り。敬称略。

 

  • 1987年 ロバート・ソロー
  • 1993年 ロバート・フォーゲル
  • 1995年 ロバート・ルーカス
  • 1997年 ロバート・マートン
  • 1999年 ロバート・マンデル
  • 2003年 ロバート・エングル
  • 2005年 ロバート・オーマン
  • 2013年 ロバート・シラー

 

 賞自体が設立されたのは1968年で翌年から受賞者がいるが、初ロバートは87年のソローだから、実際は二十数年間のうちに8人のロバート(映画の名前みたいですね)が受賞したことになる。

 また、同じ功績で同年に複数人が受賞することも珍しくないが、フォーゲル、エングル、シラーを除く5ロバートは単独受賞であるから、2015年までの全47回のうち10.6%はロバートの単独受賞となる。

 

 とりあえず、多いのは確かなようだ。そこで、何か共通点はないかと思えば、すぐに見つかる。8人全員、北米国籍である。マンデルがカナダ国籍で、あとの7人はみなアメリカ国籍だ(オーマンはイスラエルと二重国籍)。

 もう答えが見えてしまったが、つまり「ノーベル経済学賞受賞者にロバートが多い」のではなく、たぶん「ノーベル経済学賞受賞者にはアメリカ人が多い」と「アメリカにはロバートが多い」の二重構造ということである。

 予想通りすぎだが、とりあえず構造はわかったから、今後はもう例の記述に出会っても安心である。で、上の推測が正しければ経済学賞以上にロバート率が高いノーベル賞もあるかもしれないが、受賞者リストを眺めるのはもう嫌になったので、最後にアメリカにおけるロバート率だけ調べてみる。

 behindthename.comに行く。名前の由来などとともに、名前ごとに年別のランク一覧をみることができる。英語圏の男性名が保守的なのはよく知られているが(最近は変わってきてもいるが)、実際に数字をみると予想以上に保守的である。以下、アメリカにおけるロバート史の概要。データは1880年から。

 

  • 1880~1989年の109年間でトップテン入りしなかったのは1881年(11位)のみ
  • 1924年から1939年にかけては16年連続1位
  • 最もロバート率が高かった1931年は男性の5.659%がロバート(女性も0.031%はロバート)

 

 大人気である。ということで、アメリカにおけるロバートには、少なくとも百年にわたる栄光の歴史があるらしい。データがない1880年より前も含めると、実際はもっと長いと思う。

 もっとも、1990年以降はほぼ一貫してかなりの下降線をたどっていて、往時の勢いに比べると今では衰退気味のようである。2014年最新データでは61位まで落ちている。

 ロバートは、どこからきて、どこへいくのか。ともあれ、個人的なモヤモヤは晴れたので、おしまい。

 

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