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フリー哲学者ネコナガのブログ

人間にまつわること、哲学や科学、宗教、社会の問題、生き方のことなど書いています。基本的にエッセイです。

お経を読んでみよう(第一回)お経とは何か

 「お経を読んでみよう」というコーナーをいきなりはじめることにする。

 

 私自身、仏教について興味のある限りでは学んできたが(そして私が最も親和的なのは仏教の考え方なのであるが)、お経を端から端まで読むということはあまりしてこなかった。だからこれは、私が読みながら解説するというコーナーである。

 

 そういうわけで、思いついたお経を読みながら、仏教的な生き方を広めていこうと思う。幸いなことに種々の経典についてはすでにけっこう揃えてあるから、おすすめの翻訳なども紹介することにしよう。

 

 もちろん、「お経を読む」といっても日本で葬式などでやっているように呪文のようにわけもわからず唱えあげるものではない。きちんと意味を理解しながら、示されているものをつかみとっていこうということである。もっとも、葬式でお経が呪文風になっているのは漢訳経典を採用しているからで、私がこれから参照するのは現代語訳ばかりだから、呪文になる心配はない。

 そもそも、呪文は釈迦が禁じたものである。なぜなら、意味がないからである。読経にも、集団で単調な音を繰り返すことでトランス状態に入りやすい、くらいの意味はあるかもしれないが、それは本来の目的ではない。呪文それ自体に意味がないなら、それは唱えること「によって」何かを得ようとしているのだから他力である。仏教では、自分でやるのである。

 

 仏教の基本は、「自分で自分を救う」ということであるが、だからこそ仏教には神がいない。それが、たとえば日本では浄土系、つまり法然や親鸞になると「他力本願」という発想が出てきて「阿弥陀仏」がほとんど「神」と同じ位置付けになるが、これには飢饉や疫病が蔓延した中世という時代背景を考慮に入れねばならない。 

 現代日本は、原始仏教の発想に戻っていい時代である。なぜなら、豊かだからである。貧しいと思うのは他人と比べるからで、どうせ他人と比べるなら貧困国の子供たちと比べてみるとよい。他人を妬む暇があったら、やることは他にあるのである。現代日本では、自分が望む状況は自分で作り出せばよい。自分が認識するすべてを生み出しているのは自分の心だからである。どこにいて何をしていようが、すべての人はそれだけの力を持っている。これは「悉有仏性」という。

 ちなみに、「葬式」というのも初期の仏教にはない。葬式は各地で土着文化と結びついてできあがったものだ。世界各地、歴史においてそんなにも多様な仏教スタイルがあるのは、仏教は聖典や決まった教義を持たないからである。仏教の歴史は、仏説の解釈の歴史である。だから、人の数だけ違った解釈があっていい。お経は難解なものでも神聖なものでもなく、ふつうに書店に売っている本を読む感覚で読んで問題ないのである。

 

 では、仏説とは何か。文字通りには「釈迦の説いたこと」ということになる。しかし、「釈迦は何も説いていない」と言う人もいる。あるいは「釈迦の教え」という言い方もあるが、「釈迦は何も教えていない」という人もいる。こういうのは「禅問答」と呼ばれるが、これは詭弁ではなく、ちゃんとぜんぶ意味があるのである。それについてはおいおいわかる。

 上記について最も基本的なことを解説しておくと、まず、仏教には「法(ダルマ)」という概念がある。「法」とは、人が立てたものではない。それは、「この世界の根本法則」のことを指す。要するに自然法則である。それは釈迦が作ったものではなく、釈迦が「発見した」ものである。これが「釈迦は何も説いていない」ということの一つ目の意味である。したがって釈迦は、今風に言えば自然科学者である。事実、20世紀以降の西洋科学は釈迦の発想にどんどん接近した。釈迦は2500年前、実験室もないところで、瞑想だけで自然法則を発見したのである。

 

 次に、「お経とは何か」ということになるが、これは、「法をわかりやすく説いたもの」と言ってよい。釈迦のスタイルは「対機説法」というもので、決まった言葉ではなく、相手に合わせてどんな説き方でもした。それはつまり、「法は言葉では表せない」ことを意味する。相手に合わせるということは、当然ながら目の前に相手がいた方がいい。したがって、本来のお経は文字言語ではなく音声言語である。書かれたお経は、あとから書き取ったに過ぎない。当然ながら、釈迦が書いたお経は一つもない。

 ということで、「お経」に共通するのは、「法」に到達するための解説書であるということだ。したがって、「どういう背景で、どういう人に向けて説かれたものか」ということをふまえておくのが読み解く上でのポイントとなるだろう。

 

 こんな観点から、お経を読んでいこうと思う。仏教は(宗教と呼ぶなら)とても平和な宗教であるが、仏教を広めることは、現代世界にとってとても益となると思う。

 

お釈迦さまの脳科学 釈迦の教えを先端脳科学者はどう解くか? (小学館101新書)

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 仏教入門としては、本書がもっともおすすめだ。


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