フリー哲学者ネコナガのブログ

人間にまつわること、哲学や科学、宗教、社会の問題、生き方のことなど書いています。基本的にエッセイです。

サイバー空間でも自分の身は自分で守ろうという話─あるいは「ホワイトハッカー」とは何か

www.itmedia.co.jp パソコンや携帯電話といった形でコンピュータが一般に普及して、あるいはネットにあらゆる個人情報が乗り始めてからもうかなりの時間が経ったのではないかという感じだが、当初から言われている基本中の基本を未だに守っていない人があま…

尻は顔なり─チンパンジーは尻認知細胞を持つか

www.sciencenews.org journals.plos.org 先日の記事(動物の情動や表情と情動の関係など~「情動」とは何か)で情動と表情の関係、あるいは他の動物におけるそうした関係を探れる可能性などについて書いたが、ちょっと関連する話がニュースに出ていたので紹…

動物の情動や表情と情動の関係など─「情動」とは何か

natgeo.nikkeibp.co.jp ネズミの「幸福感」を外から知る指標の一つとして「表情」、具体的には耳の赤くなり具合を見る、という方法があるかもしれないことがわかったらしい。もちろんまだハッキリしたことを言うのは難しいのであろうが、動物認知(animal co…

「名言」とは何か─名言はなぜ誤解されるのか、あるいは名言の本当の使い方

「名言」というものがある。一般的にはこれは「偉人たちが残した」簡潔な言葉であり、時に「人生の役に立つ」とされているものである。そういった本も大量に出ているし、それだけ出るということは読んでいる人も多いのであろう。 しかし、一方で「名言とは、…

『量子物理学の発見─ヒッグス粒子の先までの物語』レオン・レーダーマン/クリストファー・ヒル

レオン・レーダーマン/クリストファー・ヒル『量子物理学の発見 ヒッグス粒子の先までの物語』を読む。 両著者ともに一般向け科学啓蒙書を著している物理学者で(レーダーマンは実験物理学者、ヒルは理論物理学者)、このコンビは『詩人のための量子力学―レ…

なぜ「科学」はいくつかの分野に分かれているのか─どこまで科学で扱えるのか

nekonaga.hatenablog.com 先日の記事「ものすごくざっくり言うと「科学」とは何か」を踏まえる形で、科学についてもう少し書いてみたい。前回見たところによれば、理念としての「科学」の特徴は次の通りである。 自然現象を、背後にある「法則」の存在を探る…

ものすごくざっくり言うと「科学」とは何か

「科学とは何か」ということをものすごくざっくり描いてみたい。もちろんこれについて何らかの正しい答えがあるわけではないが、多くの科学者・科学哲学者が同意しているであろうという範囲においてみてみることにする。 最初に言葉を見ておくと、科学(scie…

人間以外の動物に「意識」はあるのか─動物の心がわかるか

現代社会では、特定の仕事に従事している人を除いては、人間以外の動物に目を向ける機会はあまりない。機会がないというか、必要性がないことが多い、と言ったほうがいいだろう。あるいは動物にふれていても、どこまで動物として扱っているかは別の問題であ…

他の動物が道具を使うのを見た人間が人間について考えたと考えられること

www.youtube.com 上の動画は、ハワイにいる珍しいカラスが道具を使っているところである。最近発表された論文(http://www.nature.com/nature/journal/v537/n7620/full/nature19103.html)に関連する動画だが、ここではその研究の詳細は脇に置くとして、とも…

「キリン」は四種の生物の総称だったという話

www.natureworldnews.com www.scientificamerican.com キリンといえば、「首が長い」ことは誰でも知っている。もっとも、もしかしたら多くの人がキリンについて知っているのは「首が長い」くらいかもしれない。だとしたら、あまりにも何も知らないであろう。…

「良書」とは何か─本であることの利点が活かされているか

「良書」とは何かについて、少し考えてみることにしたい。ちなみに、日本で出版されている本に限る話である。 まず辞書で「良書」を引くと、いくつかみてみたが、いずれも「読んでためになる書物」と出ていた。まあ、辞書だから仕方がない。これなら「良い書…

「教養」とは何か─教養観のいろいろ、あるいはなぜ教養が必要なのか

「教養とは何か」。一見すると不毛な議論になりそうな問いではあるが、これについて考えられる限り考えてみたい。いくつかの議論を参照しつつ、なるべく多様な「教養」観を挙げてみることにするが、特に目新しいことを言うつもりはないので、流し読みしつつ…

我々は彗星から来たのか 我々はアミノ酸か 我々はどこへ行くのか

www.afpbb.com phys.org 欧州宇宙機関の無人探査機「ロゼッタ」が、彗星のコマからアミノ酸の一種である「グリシン」を見つけたらしい。あわせてリンも検知されたとのことで、生命の「材料」が明白に彗星からみつかったとして話題になっている。 これまでに…

なぜ雑多な本を読んだ方がいいのか─濫読にするか、座禅にするか

nekonaga.hatenablog.com 先日「フィルターバブル」の話をしたが、今回は「なぜ雑多な本を読んだ方がいいのか」ということで、そこからさらに進んだ話をしてみたい。前回の記事を読んでいない人のために、以下に要点をまとめておこう。 (1)検索サイトやSN…

「自我のインターネット」─思考の格差が、広がっているのだ

nekonaga.hatenablog.com 以前、まったくの思い付きから「なぜアマゾンのおすすめはあてにならないのか」という記事を書いてみたが、同じ問題をもっと一般化して論じているイーライ・パリサー『フィルターバブル──インターネットが隠していること』という本…

なぜ自然は汚くないのか、あるいは自然は本当に美しいのか

「なぜ自然は汚くないのか」。ありていに言えば「なぜ自然は美しいのか」だが、ともかくこれについて考えてみたい。さしあたり「自然とは何か」という問題もあるが、これについては深く考えず、日本語における最も一般的な用法としての「人工物がまったく、…

岸由二・柳瀬博一『「奇跡の自然」の守りかた』─「自然保護」とは何か

「奇跡の自然」の守りかた: 三浦半島・小網代の谷から (ちくまプリマー新書) 作者: 岸由二,柳瀬博一 出版社/メーカー: 筑摩書房 発売日: 2016/05/09 メディア: 新書 この商品を含むブログを見る ドーキンス『利己的な遺伝子』やE.O.ウィルソン『人間の本性に…

借りた本に書き込みをする人は何を考えているのか(文字通りの意味で)

「借りた本に書き込みをする人は何を考えているのか」。人に本を貸して、返ってきたら書き込みがなされていて、「何を考えているんだ」と思った経験のある人はそれなりにいるだろう。あるいは、逆にあなたは「借りた本に書き込みするのが問題なのか」と思っ…

ダーウィン的思考法のすすめ─古典を読むべき本当の理由

唐突だが、ダーウィンの「思考法」について考えてみたい。ダーウィンの最も有名な業績である「進化論」については以前の記事を読んでいただくとして(ダーウィン進化論の何がすごいのか)、ここではあまり知られていない晩年の著作にふれつつ、ダーウィンの…

書店空間のかくれた次元─何が繰り広げられているのか

書店で、自分が見たい棚の前に(もっと言えば自分が立ちたい場所に)別の誰かが立っていて(もちろんあちらも立っているだけでなく本をみているのだが)、どうアプローチしようかとちょっと困ったことはありませんか。 まあ、もともと目当ての本がある場合は…

「重複表現」の問題(2)なぜ「違和感を感じる」に違和感を覚えるのか

nekonaga.hatenablog.com 「重複表現」について、前回はそれを嫌うことの妥当性についてみてみたが、今回は「なぜそれが生じるのか」も含めてもう少し真面目に考えてみることにしたい。具体的には、なぜわれわれは「頭痛が痛い」という言葉を聞くと頭が痛く…

『文明を変えた植物たち─コロンブスが遺した種子』酒井伸雄

酒井伸雄『文明を変えた植物たち―コロンブスが遺した種子』を読む。 周知の事実だが、現代のわれわれにとって身近な植物の中には、アメリカ大陸原産のものが決して少なくない数ある。これが何を意味しているかというと、それらはいずれも、大航海時代にヨー…

ヒトの脳という見えないフィルター─マーク・チャンギージー『ひとの目、驚異の進化』『<脳と文明>の暗号』

理論神経生物学者、マーク・チャンギージーの研究をご存じだろうか。いつかふれようと思って機会を逃していたのだが、ここで簡単に紹介しておくことにしたい。 チャンギージーの著作で邦訳されているのは『ひとの目、驚異の進化: 4つの凄い視覚能力があるわ…

「重複表現」の問題(1)「頭痛が痛い」は間違いなのか

「重複表現」というものがあるが、これについてとりとめもなく考えてみたい。 重複表現といえば、まず思いつくのは「頭痛が痛い」かもしれない。これは、最初の「頭痛」という言葉にすでに「痛い」という意味が入っているから、意味が二重になっている。だか…

シェイクスピアはどこへ消えたのか(追記あり)

4月になったので、シェイクスピアについてふれてみたい。なぜ4月かといえば、この4月がシェイクスピアの没後400年にあたるからである。シェイクスピアは、1616年4月23日に世を去った。死因については諸説あってよくわかっていないが、少なくとも老いて寿命で…

「印象に残っている新人」

今週のお題「印象に残っている新人」 たまには、と思ってはてなブログの「今週のお題」に則って書くことにしたら、今週のお題は「印象に残っている新人」とのことである。これはどうも、書けそうもない。 なぜなら、「新人」では選択肢が多すぎるからである…

ショーペンハウエル『読書について』には結局何が書いてあるのか

ショーペンハウエル『読書について』(1851)を再読したので、それについてふれてみたい(私の中では「ショーペンハウアー」の方が自然なのだが、引用文献の表記に従うことにする)。読書論の古典として読み継がれているものだが、基本的には現代でも通用す…

「か国語」の謎とこれから

「か国語」という単位の謎について、まじめに考えてみたい。単位というか数え方だが、「10か国語話せる」とか、「50か国語話せる!それはすごい!」とか、そういったコミュニケーションに違和感を覚えたことはないだろうか。 少なくとも私は違和感があり…

ダーウィン進化論の何がすごいのか─ゼロからわかるオリジナルの「進化論」

nekonaga.hatenablog.com もうすぐこのブログも始まってから一年になるが、今トータルで見てみると、アクセス数がダントツで多いのはやはり上の記事である。しかし、皮肉にもこれは一番さらりと書いた類のものであったので、あらためてダーウィン進化論につ…

ノーベル経済学賞受賞者はなぜロバートか

本など読んでいると「ノーベル経済学賞を受賞した○○が~」みたいな記述に出くわすことは少なくないと思うが、「経済学賞にロバート多すぎではないか」と思ったことないでしょうか。 個人的には何度もそう思って、いつも放っていたのだが、何度放っておいても…


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