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フリー哲学者ネコナガのブログ

人間にまつわること、哲学や科学、宗教、社会の問題、生き方のことなど書いています。基本的にエッセイです。

「か国語」の謎とこれから

「か国語」という単位の謎について、まじめに考えてみたい。単位というか数え方だが、「10か国語話せる」とか、「50か国語話せる!それはすごい!」とか、そういったコミュニケーションに違和感を覚えたことはないだろうか。 少なくとも私は違和感があり…

ダーウィン進化論の何がすごいのか─ゼロからわかるオリジナルの「進化論」

nekonaga.hatenablog.com もうすぐこのブログも始まってから一年になるが、今トータルで見てみると、アクセス数がダントツで多いのはやっぱり上の記事である(進化論の誤解)。やっぱりというのは、アクセス解析を見ていると毎月かならずこれがトップになっ…

ノーベル経済学賞受賞者はなぜロバートか

本など読んでいると「ノーベル経済学賞を受賞した○○が~」みたいな記述に出くわすことは少なくないと思うが、「経済学賞にロバート多すぎではないか」と思ったことないでしょうか。 個人的には何度もそう思って、いつも放っていたのだが、何度放っておいても…

コサ語学習者はコサ語の難しさに苛立っているわけではないという話

natgeo.nikkeibp.co.jp マッコウクジラは、クリック音でコミュニケーションしていて、方言まであるらしい。 言語学をかじっている人なら、コミュニケーションのために発する音だからと言ってそれが「言語」とか「方言」と呼べるのかどうかは常に頭が痛い問題…

ホッキョクグマの共食いが衝撃なら、現代人の「共食い」はどうなのかという話─「倫理的な生き方」とは何か

natgeo.nikkeibp.co.jp ホッキョクグマが共食いしている動画が撮影されたらしい。共食い自体はもともと周辺で暮らしている人の間では周知の事実だったようだが、映像は初めてとのこと。 記事では「気候変動でアザラシ等が食べられなくなったから共食いが増え…

歴史研究のおもしろさと難しさ─「フレーム理論」からわかること

nekonaga.hatenablog.com 先日イースター島史の議論について書いてみた。今回はその件を例に、タイトル通り、歴史認識について「フレーム理論」の側面から語ってみたい。簡単に言えば、こうした議論が起こること自体についての謎解きである。 最初に、根拠と…

イースター島の歴史が人々の愚かさによる崩壊の歴史だと言う人と、そんなはずはない、もっといろんなストーリーがつまった歴史だと言う人の議論の歴史

nekonaga.hatenablog.com 先日イースター島のことを少し書いたが、そのあとScience Newsからイースター島に関する新研究論文があるとニュースが流れてきた。先日の記事でも登場したカール・リポ教授が、考古学の論文誌「Antiquity」上で最新の研究成果を発表…

『イースター島を行く─モアイの謎と未踏の聖地』野村哲也─中公新書カラー版の魅力

野村哲也『カラー版 イースター島を行く―モアイの謎と未踏の聖地 (中公新書)』を読む。読むというか、基本的に「見る」本である。だからカラー版。しかし、新書だから1000円で買えるのが売りである。写真集は、もちろん写真家からすれば「これがいい」という…

川端幹人『タブーの正体!:マスコミが「あのこと」に触れない理由』─そもそも「タブー」とは何か

川端幹人『タブーの正体!: マスコミが「あのこと」に触れない理由 (ちくま新書)』を読む。かなり売れた4年前の本だが、今読んでも色あせていない。著者はかつての『噂の眞相』の副編集長である。 タブーを扱った本は少なくない。しかし、そもそもタブーとは…

「宗教」は今後どうなるのか(4)「資本主義教」の時代

nekonaga.hatenablog.com 「宗教は今後どうなるのか」である。 第1回では「お坊さん便」について触れ、第2回と第3回では二回に分けて、島田裕巳『宗教消滅 資本主義は宗教と心中する (SB新書)』で解説されている各国での宗教事情をまとめた。今回はそれを踏…

「宗教」は今後どうなるのか(3)島田裕巳『宗教消滅』を読む(続き)

nekonaga.hatenablog.com 島田裕巳『宗教消滅 資本主義は宗教と心中する (SB新書)』の内容を紹介しているところである。 前回は、同書で考察されている日本における宗教事情をみた。簡単にまとめれば、まず、日本では戦後の経済成長に伴う都市部への人口流入…

「宗教」は今後どうなるのか(2)島田裕巳『宗教消滅』を読む

nekonaga.hatenablog.com 前回は「お坊さん便」を引き合いに、日本における多数派宗教である仏教の位置づけの変化についてみてみた。おさらいと補足をしておこう。 まず、日本では長らく「あの世」に関するもろもろは仏教の独占状態であった。一応、「信仰し…

「宗教」は今後どうなるのか(1)「お坊さん便」からわかる日本での大きな流れ

宗教は今後どうなるのか。宗教は人類の歴史と同じくらい古いと言われている。しかし、一方でそろそろ消滅するという声もある。こうした問題について考えてみたいと思うが、今回は前置きとして「お坊さん便」についてみてみることにしたい。 昨年末にニュース…

エイリアンはそんなにバカじゃないという話

映画『第9地区』を観ていて思ったのだが、時に、地球にやってくるエイリアン(地球外生命体、宇宙人)というのはどうしてこうもひどく描かれるのであろうか。 もちろん、「フィクションだから」というのはあるだろう。つまり、素晴らしいよりはひどい方がウ…

ブログの記事が無断転載されていることについて

本ブログの一部の記事が、いくつかのサイトに無断転載されている。先日新たに発見したのだが、実は以前からいくつか知っていたので、インターネットの世界では思っていた以上にこういうことが日常茶飯事なのだということに驚いている。 驚いているだけではな…

イヌとヒトの複雑な関係

"The Big Search to Find Out Where Dogs Come From" - The New York Times http://www.nytimes.com/2016/01/19/science/the-big-search-to-find-out-where-dogs-come-from.html?ref=topics 上の記事を読んで以来、イヌと人類のかかわりの歴史について少しだ…

動物たちは冬をいかに生き延びているか

www.sciencenews.org 今週末は全国的に寒いようだが、ちょうどよく「動物たちが冬を生き延びる8つの方法」というのがあった。寒さに限る話ではないが、確認してみよう。 1.湯につかる 名古屋は地獄谷野猿公苑のジャパニーズマカク(ニホンザル)が紹介さ…

血液型占いはなぜ当たるのか─当たろうが当たるまいが、本質を知ろう

tocana.jp 「血液型占い」である。昨今の日本に限って言えば、「血液型占い」を知らない人を見つけるのは難しいであろう。そして、「血液型占いに科学的根拠がない」ということをわきまえていない人も、そんなにいないであろう。しかし、時々「当たる」こと…

言葉の意味はどこにあるのか─「村上春樹は、むずかしい」

先日、『いくつになっても年をとらない新・9つの習慣』という本のタイトルを分析してみたが(「新年は謎だらけである」)、それ以来どうも、書店で並んでいる本を見ているとタイトルをあれこれ分析してしまうようになった。 そこで今回は、加藤典洋『村上春…

デズモンド・モリス『サル─その歴史・文化・生態』─ヒトとサルの奇妙な関係

デズモンド・モリス『サル:その歴史・文化・生態』を読む。必要あって昨年末から読書テーマの一つがサル学なのでその延長で読んだが、そういえば今年は申年であった。新年はゲン担ぎで猿股が売れているとかなんとかいう話だが(違うかもしれない)、私として…

新年は謎だらけである

新年とは何か。文字通り新しい年のことである。 では、年とは何か。これは人間が便利なように、何日で一年と文化ごとに決めるものである。日本では多くの場合365日で1年である。しかし日というのも人間の都合で文化的に決めているから、やはり恣意的であ…

本の未来を読んでみよう(2)これからの「書店」と「本」のありかた

nekonaga.hatenablog.com 前回、リアル書店が「立ち読み歓迎モード」に移行していることをみた。もちろん、これは私なりの一つの見方なので、事実として許容されているかは別の話だ(一応言っておくと、私は終始、分析しているだけで、個人的な価値判断は表…

本の未来を読んでみよう(1)立ち読みはどこまで許されるのか

「立ち読みはどこまで許されるのか」と題してみたが、リアル書店の現状を通して読書の未来を考えてみたい。「立ち読み」というのは、立っていようがいまいが、購入していない本を売り場で読むことである。これは、マナーという意味では基本的によくないこと…

ネット言葉が権威を持つかもしれない日─話し言葉と書き言葉、ネット言葉を話し言葉

先日、喫茶店で隣に十代と思しき若い女性の集団がいて、その中の一人が「ワロタ」という言葉をあたかも日常用語のように使っていた(私は同じ人の口からその言葉が発せられるのを5分くらいの間に3回くらい聞いた)。 一緒にいた他の人は使っていなかったが、…

幸福感を得るための5つの方法─科学によれば

time.com TIME誌のWeb版に「The 5 Habits That Will Make You Happy, According to Science」というのが出ていた。5つの方法と説明の要約は以下の通り。 過去に一番幸福だった時に聴いていた音楽を聴く:音楽を聴くと、最後にその音楽を聴いていた時の状況を…

『世界史を変えた薬』佐藤健太郎─薬と医学と人々、それぞれの歴史

佐藤健太郎『世界史を変えた薬』を読む。医学系の新書では珍しいスタイルだが、おもしろい読み物となっている。 まえがきに「歴史にifは禁物である」という言葉が引かれている。一般にこれは戒める意味で使われるが、実際は歴史家でもなければ、ifを交えた思…

『森田療法』岩井寛─神経質は「あるがまま」と「目的志向」で治せる

岩井寛『森田療法』を読む。講談社現代新書のロングセラーの一つだが、森田正馬が創唱した「森田療法」についての平易な入門書である。 森田療法とは、もともと「神経質」に悩む人のために考案されたもので、体験治療に基づく日本発の代表的な精神療法の一つ…

誰がティラノサウルスを知っているのか

natgeo.nikkeibp.co.jp またTレックスがニュースになっていた。サイエンス系ニュースは定期的にチェックしているが、もはやニュースでもなんでもない感じでTレックスも定期的にあらわれる。 もちろん記事になるからには何か新しい情報があるわけだが、いつ…

「輪廻転生」という危険なものを信じるのはもうやめよう

最近、書店で驚いたことがある。新書コーナーに行って平積みしてある新刊を見ていたら、「輪廻」という言葉が入った本が、同時に二つもあったのである。特にそれらに限定してというわけではないが、「輪廻転生」という発想が再び市民権を得てきていることは…

「思想」とは何か─単なる「考え」とはどう違うのか、あるいは「哲学」や「宗教」との関係について

「思想」とは何か。いわゆる「考え」や「考え方」とはどう違うのか。あるいは、「思想」という言葉と関連性が深そうな「哲学」や「宗教」という概念と対比すれば、どのようなことが言えるのか。これについて考えてみたい。「思想」と呼ばれる様々なものを理…

リンゴを洗って食べるイノシシのことなど

natgeo.nikkeibp.co.jp スイスのバーゼル動物園で行われた実験で、食べ物を洗ってから食べるイノシシがいることがわかったらしい。 洗って食べる動物といえば、真っ先に思いつくのは幸島のサルであろう。幸島(宮崎県)は京都大学による霊長類研究が行われて…

ノーム・チョムスキー『我々はどのような生き物なのか』─本人による入門講義

ノーム・チョムスキー『我々はどのような生き物なのか』を読む。副題は「ソフィア・レクチャーズ」だが、去年3月に上智大学で行われた講演を書き起こしてまとめたものだ。しかし、二日間にわたる講演の全文(質疑応答含む)のみならず、講演直前に行われた…

小室直樹『日本国憲法の問題点』─第九条の議論の前に

少し前に小室直樹氏について紹介したが、久しぶりに氏の著作を次々と読んでいると「今こそ、広めておくべきだ」と思う本がたくさんあった。だから、昨今の状況に引きつけながら、これからいくつか取り上げていくことにしたい。今回は『日本国憲法の問題点』…

『イスラーム基礎講座』渥美堅持─アラブ・イスラーム情勢をきちんと理解したい人に

渥美堅持『イスラーム基礎講座』を読む。平積みしてあったので買ってみたものだ。著者の本を読むのは今回が初めてだったが、ですます調ながらハードボイルド小説のような雰囲気で、淡々と描かれるイスラーム世界がどこか新鮮だ。 本書の特徴は、タイトル通り…

小室直樹『日本人のためのイスラム原論』─今こそ内在的論理をつかむべし

今週のお題「人生に影響を与えた1冊」 久しぶりに本の紹介でもしようと思ったら、(今までちっとも気にしたことがなかったが)「今週のお題」なるものが「人生に影響を与えた1冊」ということであるので、大きな影響を受けた小室直樹氏の著作から「今読むべき…

寿命が延びた社会をどう生きるのか(3)民主主義の基本にかえろう

「寿命が延びた社会をどう生きるのか」について考えていたところだが、第三回目になってしまった。今回で終わりである。第一回では「問題を自分のこととして考えておく必要がある」ということについて、そして前回は考える上での最低限の科学的知識について…

寿命が延びた社会をどう生きるのか(2)最低限の科学的知識

「寿命が延びる」ことに関する言説について、前回は社会的な側面から少しみてみた。今回は、社会的な議論に必要不可欠な最低限の科学的知識について少しみてみたい。「科学的知識」は、今ではもはや当の科学からしても「真理」とはみなされていないが、そう…

寿命が延びた社会をどう生きるのか(1)一般的な解決策はない

「人類の寿命が延びる」ことに関する議論がかまびすしくなってきた。流行りの「人工知能」と同じく、科学的知識がない門外漢には何がなんだかわからない分野とあって、よくわからない言説をけっこうみかける。もっとも、こうした「人類」レベルで歴史を動か…

ドローンは野性動物にとってストレス源となるか─動物保護と逃走距離

ドローン(無人航空機)の利用範囲がどんどん広がっている。おそらく、産業分野でも今後は拡大する一方であろう。あるいは動物保護にも利用されており、上空から監視を続けることで、個体数や生息域のデータをとったり、密猟者を早期発見したりできる。もっ…

「フェミニズム」とはいったい何なのか─思想・制度・実践

「フェムニズム(feminism)」という言葉がある。しょっちゅう耳にするわけでもないが、ごくたまにしか耳にしない言葉でもない。むしろ、ますます浸透してきている言葉だと言えよう。しかし、これはいったい何を指しているのか。ひと言で説明できるものであ…

電子書籍をどこで買うか─電子書籍市場のゆるやかな予測

「電子書籍」が出版市場に参入して久しい。現在は明らかに過渡期だからまだ先行きは不透明な部分もあるが、他の分野と比べつつ長い目で見れば、落ち着きどころはなんとなく見えてくる。ここでは「電子書籍をどこで買うか」という基本的な問題とともに、電子…

『元素─文明と文化の支柱』フィリップ・ボール─周期表だけではない元素の世界

フィリップ・ボール著『元素』(丸善)を読む。 「なんてストレートなタイトルなんだ」と思われるかもしれないが、これはオクスフォード大学出版局から出ている「Very Short Introduction(VSI)」というシリーズの一冊である。これまでに350タイトルほど出…

『悩ましい翻訳語』『厄介な翻訳語』垂水雄二─「翻訳」はなぜ難しいのか

垂水雄二『悩ましい翻訳語―科学用語の由来と誤訳』『厄介な翻訳語―科学用語の迷宮をさまよう』 を読む。著者の垂水氏はさまざまな職種を経験してきたそうだが、本シリーズは「翻訳者」として書いたものである。長年の翻訳業のあいだに積もらせてきた、もろも…

「言行一致」は本当に必要なのか─人類史における「言」の意義

「言行一致」という言葉がある。これは読んで字のごとく「言うこと」と「行うこと」が一致していることで、意味はそのままだ。現代日本でよく耳にするのは、報道などでとくに批判的に「言行不一致」という場合であろう。何となれば政治の世界は言行不一致ば…

エネルギー問題とはなにか(+エネルギー関連おすすめ本)

電気自動車が走りながら充電できる道路がイギリスで実験的に導入されるらしい。バッテリーの性能問題は電気自動車(EV)の弱点だったが、無線で充電できるようになるということだ。ワイヤレスでの送電はスマートフォンやシェーバー、電気歯ブラシなど身の回…

ディープ・パープルとロックの精神

イギリスのバンド、ディープ・パープルを久しぶりに聴いてみたらよかったので、ロックを再認識した。ディープパープルはたしか68年にデビューだったと思うが、イギリスでロックが全盛だったころにのちのハードロックやヘヴィメタルの先駆けとして登場した…

お経を読んでみよう(第十四回)知恵の完成は完成したものではない

今回は『金剛般若経』と『善勇猛般若経』をとりあげよう。どちらも数ある「般若経」の一つである。引用については長尾・戸崎訳『大乗仏典〈1〉般若部経典―金剛般若経・善勇猛般若経』から行う。 大般若経の蘊奥を短くまとめたとされる『般若心経』については…

『人類学の再構築』モーリス・ゴドリエ─人類学とは何か

モーリス・ゴドリエ『人類学の再構築―人間社会とはなにか―』を読む。ゴドリエは、レヴィ=ストロースにも師事したマルクス主義人類学者である。邦訳文献としては『観念と物質―思考・経済・社会』や『贈与の謎』などがある。 「人類学」というのは、謎の学問…

日本人の死生観と「死」について─儒教、仏教と民間信仰

「死」については、古来さまざまな考えがある。何が死であるのかというのは、科学で結論が出るものではない。細胞がすべて死滅した時かと言えば、一度にすべて死ぬわけではないから、その判定は確固たるものではない。心臓が止まった時かと言えば、心臓は止…

お経を読んでみよう(番外編)初学者におすすめの参考図書

今回は「番外編」として、お経を読み始めた初学者が手元に置いておくと便利な本を紹介しよう。ここではとくに、これまでに紹介した範囲に関連の深いものをあげておきたい。幅広く読み物や研究書を読むのもおもしろいが、仏教関係の書物は何しろ膨大なので、…


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