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フリー哲学者ネコナガのブログ

人間にまつわること、哲学や科学、宗教、社会の問題、生き方のことなど書いています。基本的にエッセイです。

お経を読んでみよう

お経を読んでみよう(第十四回)知恵の完成は完成したものではない

今回は『金剛般若経』と『善勇猛般若経』をとりあげよう。どちらも数ある「般若経」の一つである。引用については長尾・戸崎訳『大乗仏典〈1〉般若部経典―金剛般若経・善勇猛般若経』から行う。 大般若経の蘊奥を短くまとめたとされる『般若心経』については…

お経を読んでみよう(番外編)初学者におすすめの参考図書

今回は「番外編」として、お経を読み始めた初学者が手元に置いておくと便利な本を紹介しよう。ここではとくに、これまでに紹介した範囲に関連の深いものをあげておきたい。幅広く読み物や研究書を読むのもおもしろいが、仏教関係の書物は何しろ膨大なので、…

お経を読んでみよう(第十三回)ニルヴァーナは輪廻に対していかなる区別もない

今回はナーガールジュナの『中論』をとりあげよう。ナーガールジュナは「龍樹」と訳されているので、そちらの表記を採用する。引用は講談社学術文庫にある中村元訳『龍樹』から行う。 『中論』は、一言でいえば大乗仏教の根本経典の一つであり、「空」の論理…

お経を読んでみよう(第十二回)もろもろの憂いの生ずる根拠を、知り尽くしたからである

今回は『テーリーガーター』というお経をとりあげよう。これは最初期のお経の一つで、『テーラガーター』と対になるものである。それぞれ『尼僧の告白』『仏弟子の告白』として中村元訳で岩波文庫に入っているが、あまり同じ訳者ばかりではおもしろくないの…

お経を読んでみよう(第十一回)もしも正当であるならば、よき人々は採用せよ

今回は、『金剛の針』をとりあげよう。なお、引用は中村元編『原始仏典』から行う。 『金剛の針』は、直接釈迦が説いている形式ではないが、のちの諸経典によく引用されており、一言でいえば「カーストを否定する」という仏教の態度を典型的にあらわしている…

お経を読んでみよう(第十回)これは聖なる修行のなかばではなくして、そのすべてである

今回は、前回と同じく増谷文雄訳『阿含経典〈2〉人間の感官(六処)に関する経典群・実践の方法(道)に関する経典群・詩(偈)のある経典群』から、「半」と題された部分をとりあげよう。 「半」は「半分」の「半」だが、その意味については本題から明らかなもの…

お経を読んでみよう(第九回)彼らに甘露の門はひらかれたり

今回は、『阿含経』にある「詩のある経典群」から、「梵天勧請」のエピソードをとりあげよう。 「詩のある経典群」は、阿含経の中では比較的後代にまとまったとされているもので、文字通り「詩」を中心にした形式で書かれているものだ。ただし、内容にも特徴…

お経を読んでみよう(第八回)わたしによって説かれなかったことは、説かれないままに受持するがよろしい

今回は、有名な「箭の喩えの経」をとりあげよう。「箭」とは「矢」のことだ。前回と同じく、増谷文雄訳『阿含経典〈3〉中量の経典群/長量の経典群/大いなる死/五百人の結集』から引用する。 場面は、長老マールンクヤプッタなる人物の独り言からはじまる。 …

お経を読んでみよう(第七回)わたしはただ道を教えるのみである

今回は、前回と同じく増谷文雄訳『阿含経典〈3〉中量の経典群/長量の経典群/大いなる死/五百人の結集』から、「数学者モッガラーナの問い」の部分をとりあげよう。最初にいえば、これは仏教の性格をとてもよくあらわしている部分である。 場面は、サーヴァッ…

お経を読んでみよう(第六回)残った茸は、それを穴に埋めるがよい

今回は『マハーパリニッバーナ』というお経をとりあげよう。これは前回と同じく『阿含経』に属するものだが、説法ではなく釈迦の「死」の場面を描いた特徴的なお経だ。『大般涅槃経』と訳されることもあるが、各言語合わせて九つの版があるらしい。中身はそ…

お経を読んでみよう(第五回)無明によって行がある

今回はいわゆる「十二縁起」説をとりあげよう。これは『阿含経』と呼ばれる一連のお経の中に何度も出てくるものだ。「縁起」は「縁起がいい」といったように日本語にも入っているが、中身はまったく違うので注意する必要がある。日本語には意外と仏教由来の…

お経を読んでみよう(第四回)すべては「空」である

今回はおなじみの『般若心経』をとりあげよう。 これは、前回と前々回でとりあげたような初期のお経とは違って「大乗経典」に属するものだ。日本でも浄土教をのぞいてほとんどすべての宗派が採り入れている。1~2ページのとても短いお経だから、丸暗記して…

お経を読んでみよう(第三回)自分のつとめに専念せよ

今回は『ダンマパダ』というお経をとりあげよう。前回の『スッタニパータ』と同じく、釈迦の生の言葉をよく伝えているとされる初期のお経だ。 「ダンマ」とは第一回で説明した「ダルマ」、つまり「法=この世界の根本法則」のことである。「ダンマ」か「ダル…

お経を読んでみよう(第二回)人は行いによってバラモンとなる

前回は「お経とは何か」ということを簡単にみた。今回からは実際にお経を読んでみよう。 今回とりあげるのは、『スッタニパータ』というお経である。これは初期のお経の中でも最も古いもので、つまりは釈迦の生の声に最も近いとされているものだ。日本では『…

お経を読んでみよう(第一回)お経とは何か

「お経を読んでみよう」というコーナーをいきなりはじめることにする。 私自身、仏教について興味のある限りでは学んできたが(そして私が最も親和的なのは仏教の考え方なのであるが)、お経を端から端まで読むということはあまりしてこなかった。だからこれ…


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